小田原賞作曲コンクール
小田原賞作曲コンクール
第1回コンクール 審査結果発表
第1回コンクール 審査結果を以下の通り発表致します。
応募総数68作品
第1位 該当作品なし
第2位 組曲「野うさぎ」
久米詔子
(佐賀県在住、電子オルガン奏者、44歳)
第3位 ほうき星のうた
岡村信子
(埼玉県在住、主婦、43歳)
上の結果により第2位の久米詔子氏に賞金20万円、第3位の岡村信子氏に賞金10万円およびそれぞれに記念品(上位10曲録音のCD)を贈呈する。
なお第3次最終審査に残った10作品のうち全審査員から一定の評価を得た3作品を入選として記念品を贈呈、他の5作品を佳作として曲名と作曲者氏名を以下に公表しその健闘を賞賛する。
入選 鳥の組曲 本澤尚之
小さな手のためのヴァリエーション・エチュード 小栄住明子
「ピアノの歌」より 諏訪雅彦
佳作 ピアノ組曲「子どものために」 平木 悟※
4つのインヴェンション 徳備康純
組曲「PLAY!」より 柳川瑞季
子供のための組曲 中島真由美
Album for the young 木村 裕
総評
「子どものためのピアノ曲」が今回の作曲コンクールのテーマであったが68曲の多数の応募に接し主催者の期待に十分こたえるものとなった。 応募の範囲は北海道から沖縄まで全国におよび、韓国、ロシア(在モスクワ日本女性)など海外からも作品が寄せられた。 作曲者は中学生から超ベテランまで広い年齢層にわたり、音大教員などプロの音楽家諸氏からの応募もあってその内容は充実した質の高いものであった。 とりわけ女性の作曲意欲はめざましく入賞2曲も女性の作品となった。
これら作品はそのほとんどすべてが真摯な制作意図にもとづく作品であり、日本の子どもたちの音楽的要求に応えようとする親愛と配慮がうかがえるものであると同時に創造的な意欲を十分に感じさせるものであった。 また個々の作風、様式はさまざまであってもほとんどの作品がどこかで民族の感性に根ざす音楽表現を志向していることが感じられた。 これは今回の応募作品に共通するひとつの大きな特徴ととらえることができるであろう。 韓国からの応募作品にもこのことは通底していると感じられる。 この特徴は作曲者が各自の社会的な現実と音楽的な現実に誠実に対応しようとする創作態度を示し、地に足の着いた健全で健康な精神に立ちかつ豊かでしなやかな感性を発揮する結果となった。 したがってこれら作品に対する審査も相応の手応えあるものとなったことが強く感じられた。
残念ながら全作品の中から他を圧倒する力量と風格を備えた作品を見いだすに到らず第1位なしの第2、3位入賞という結果になったが、第2位組曲「野うさぎ」の新鮮で繊細な描写力、自在な即興性、小形式ながら緊密な構成は説得力があり、第3位「ほうき星のうた」では幻想的な宇宙空間へと憧れる感情がライトモティーフ的な音型の活用で示され、巧妙な和声進行にみちびかれた抒情的な主旋律の高揚感が魅力的であった。
入選した3曲、佳作とされた5曲もそれぞれ意欲的な力作であり審査員の評価が分かれた曲もあったが、入賞作を含めその多くが子どもたちの愛奏に耐えうる作品であったことはこのコンクールが本来の目的とする「音楽の好きな子どもたちに、同時代を生きる作曲者による新しい創作曲を提供すること」が応募者多数の熱意によってある程度達成されたものといえよう。 記して応募者各位への感謝の言葉とする。
審査の経過は下記の事務局の報告を参照されたい。
※平木 悟氏について、結果発表当初本名を掲載しておりましたが、楽譜にペンネームの記載があり、事務局で見落としておりました。お詫びして訂正致します。誠に申し訳ございませんでした。
2011年3月31日 第1回小田原賞作曲コンクール審査員会
審査の実施と経過
1 第1次審査 全68曲の無記名の楽譜および演奏録音CDを制作し6名の
審査員に送付して第2次審査対象31曲を選定。(第1次審査の合否につい
て知りたい方は当コンクール宛かならずEメールでお問い合わせください。)
2 上記31曲に対して上記楽譜およびCDにより第2次審査を行い最終審査
(第3次)の対象曲を以下9曲に選定、さらに少数意見の具申を最終審査時に求
めることとした。
曲名 作曲者名
鳥の組曲 本澤尚之
組曲「PLAY!」より 柳川瑞季
小さな手のためのヴァリエーション・エチュード 小栄住明子
組曲「野うさぎ」 久米詔子
「ピアノの歌」より 諏訪雅彦
ほうき星のうた 岡村信子
ピアノ組曲「子どものために」 平木 悟
4つのインヴェンション 徳備康純
子供のための組曲 中島真由美
(順不同)
3 全6名の審査員と監査および事務局員合計11名の参加のもと少数意見により復活した下記1曲を加え
た全10曲に対して厳正に最終審査を行い上記の審査結果を得た。
曲名 作曲者名
Album for the young 木村 裕
4 なお、第1回コンクール募集要綱および第1回コンクール審査員についてはこちらをご確認ください。
2011年3月31日 小田原賞作曲コンクール事務局
※すべて敬称略にて失礼致しました。
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