小田原賞作曲コンクール

 
 

第2回コンクール 審査結果発表

第2回コンクール 審査結果を以下の通り発表致します。


 応募総数27作品 

 第1位 午後の教室への前奏曲

                          綿引浩太郎

    (千葉県在住、私立中・高等学校非常勤講師(音楽)27歳)

 


 上の結果により第1位(優勝)の綿引浩太郎氏に賞金30万円および記念品(上位曲録音のCD)を

 贈呈する。

 なお第2次最終審査に残った作品のうち全審査員から一定の評価を得た4作品を入選として記念品を贈

 呈、他の4作品を佳作として曲名と作曲者氏名を以下に公表しその健闘を賞賛する。


 入選 とてもやさしい4つの小品                 山口哲人 

    「冬の思い出」バイオリンとピアノのための         岡村信子

    あの桜が咲く頃に                     佐藤信人

    ヴァイオリンの為の二つの情景               西出真理

 佳作 ヴァイオリンとピアノのための主題と4つの変容「竹林にて」 徳備康純

    桜のうた                         美馬佳世

    『旅路』子どものためのヴァイオリン独奏曲(ピアノ伴奏付き)大森愛弓

    Pizzicato Fantasy                     平木 悟


 総評

 今回のテーマは「子どものための弦楽器の独奏曲(無伴奏またはピアノ伴奏付き)」

であった。当初、前回のピアノ曲より幾分応募数が減る事も予想されたが結果は

全部で27曲(内、チェロ 5、ヴィオラ 1)の参加があり期待を遥かに超える盛況であった

事はまことに喜ばしい。

 審査は事務局3名及び監査1名の立ち会いのもとに常任審査 3 委員に加え今回の特別審査員としてヴァイオリン、チェロ、コントラバス奏者各1名それにピアニストの合計7名がこれら応募曲の審査にあたった。応募の範囲は岩手から兵庫にまで及んだ。作曲者は20歳から78歳と幅広かった。


 本選会に残った9作品のうち5名以上の審査員によって支持された4作品と、4名によって支持された5作品のなかから2名の審査員によって再評価を求められた1作品を加えた計5作品についてあらためて最終審査を行い6名の推薦を得て優勝作品が決定された。 審査の情況と結果については下記の事務局報告を参照されたい。


 作品は、前回と同じくほとんどすべてが真剣さまじめさにあふれ、音楽を愛する子ども達に

対して正統な音楽観と同時に未来を見つめさせたい、とする願いや祈りが溢れた結果なので

あろう、なかなかの力作揃いであり、審査員達はいずれも兄弟付け難いこれら作品群の中に

あって呻吟しつつも来るべき時代への大きな期待が膨らんでくるのを感じたに相違ない。

 ヴァイオリン、チェロその他西洋の長い歴史の中に存在して来た楽器のための創作、という

条件のためか比較的ここ200年の音使いを根幹とした語法を用いたものが少なくなかったが、

中には近・現代の響きに大胆にアプローチしたものもいくつかあり期待させるものがあった。 しかしそこまでの作曲技法を身につけているのであれば今一歩踏み込んで日本の伝統的な響き(民謡その他のジャンル)を試みる大胆さがあっても良かったように思う。

 審査結果は、昨年は第1位なしであったが今回は見事第1位に選ばれた作品があった。選ばれたのは、上記の通り「午後の教室への前奏曲」を作曲した、綿引浩太郎氏。

 優勝作品「午後の教室への前奏曲」は現代的なリズム、ハーモニーを十分に取り入れながら今を生きる青少年の感性にいきいきと問いかける作品となった。また弦楽演奏面では特に高度な技術を要求することなく作品の演奏を楽しめるような十分な配慮がなされており作曲者の若い演奏者たちへの愛情と期待が感じられた。これはこのコンクールの「音楽の好きな子ども達に同じ時代を生きる作曲者による新しい創作曲を提供する」という目的がよく活かされているものということができよう。

 多数の熱意溢れる応募者によって今年はあたらしいジャンルに一歩を進めることができ、優勝作以外にも最終審査の対象となった4作品を入選作として表彰することを得た。記して応募された各位に感謝を申し述べるものである。



                  2012年5月31日  第2回小田原賞作曲コンクール審査員会


 審査の実施と経過

1 第1次審査 全27曲の無記名の楽譜および演奏録音CDを制作し7名の審査員に送付して第2次審査

  対象に以下9曲を選定。


 曲名                               作曲者名

     午後の教室への前奏曲                    綿引浩太郎

 とてもやさしい4つの小品                  山口哲人 

「冬の思い出」バイオリンとピアノのための          岡村信子

 あの桜が咲く頃に                     佐藤信人

 ヴァイオリンの為の二つの情景               西出真理

 ヴァイオリンとピアノのための主題と4つの変容「竹林にて」 徳備康純

 桜のうた                         美馬佳世

 『旅路』子どものためのヴァイオリン独奏曲(ピアノ伴奏付き)大森愛弓

 Pizzicato Fantasy                     平木 悟

                             (順不同)


3 全7名の審査員と監査および事務局員合計11名の参加のもと上記全9曲に対して厳正に本選会を行い上記の審査結果を得た。また、全審査員に上記9曲以外に敗者復活を推薦する作品を募ったがそれは得られなかった。


なお、第2回コンクール募集要綱 および第2回コンクール審査員 についてはこちらをご確認ください。


                     201231日    小田原賞作曲コンクール事務局

                                  

すべて敬称略にて失礼致しました。

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